グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

 友人に勧められて見た映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。

 公開は1997年。当時27歳のマッド・デイモンが脚本を書いたというのだから驚き。

 主な登場人物は以下。

ウィル・ハンティング:抜群の記憶力を持つ天才青年。しかし大学教育は受けずに、仕事を転々としながら友達と連れだってケンカに明け暮れる日々を送る。マサチューセッツ工科大学の床清掃の仕事中に、教授が出した難問を解答し、教授の目に留まる。幼少期の体験がもとで心を閉ざしている。

ジェラルド・ランボー:MIT数学教授。フィールズ賞受賞者。ウィルを100年に一度の天才と評し、教育しようとする。

ショーンマグワイアランボーと同級の心理学者。ランボーが尋ねた多くのカウンセラーの中で唯一ウィルのカウンセリングを引き受ける。最愛の妻を2年前にガンで亡くす。

スカイラー:ウィルがバーで出会ったハーバード大の女子学生。ウィルと親密な仲になる。

ウィルの友達:いつもツルんでる、ウィルを含めて4人組。ウィルのことを真剣に考えてくれるいい奴ら。

 

 舞台はアメリカ、ボストン。主人公ウィルはマサチューセッツ工科大学(MIT)の床掃除の仕事をしながら、友達とケンカやナンパに明け暮れる生活を送っていた。ある日、MITのランボー教授が廊下の黒板に出題した数学の難問を仕事中のウィルが解き、教授の目に留まる。ちょうど暴行事件で裁判を受けていたウィルは、教授が提案した、数学に取り組むこと、カウンセリングを受けること、という条件での仮釈放を了解する。ここからウィルと、彼にかかわる人物の心理模様を描いた物語が始まる。

以下、詳しい内容、印象的だった場面、所感など、ネタバレを含みます。

・大まかな流れ

 ウィルは心を開かない。複数のカウンセラーあしらう。

 ショーンの言葉でウィルは少しずつ変化。スカイラーに遮二無二会いに行く。

 ウィルの将来をめぐってランボーショーンは対立。ランボーは研究所などに就職させて働かせようとする。ショーンはウィル自身に将来を選択させようとする。

 ランボーショーンは昔からあまり仲が良くない。ランボーショーンが自分より頭が良いことを認め、劣等感を感じている?ショーンランボーフィールズ賞を取ったことに嫉妬?

 ウィルは生みの親を知らず愛情を受けてこなかった。里親からは暴行を受けた。自分が捨てられる前に人を捨てる。スカイラーに対しても同様の行動。

 ウィルにかかわる人たちが皆ストレスを抱えてギリギリの状態に。

 ウィルのことを真剣に考えてくれる友。

 ショーンとウィルは同様の境遇だったことで打ち解ける。

ショーンの言葉は心に響く。最も印象的だったのはウィルと2回目に会った時に彼に言った言葉。

 ウィルとショーンが初めて会った日、ウィルはそうとは知らずショーンの亡くなった妻を侮辱した。それを受けて。

「君が絵について言ったことを考えた。眠らずに考えた。ある結論が出てその後君のことを忘れてぐっすり眠った。

君は自分の言葉が分かっていない子供だ。ボストンを出たことは?

美術の話をすると君は美術本の知識を。ミケランジェロのことにも詳しいだろう。彼の作品、政治、野心、法王との確執、セックス面での好み。だがシスティナ礼拝堂の匂いを?あの美しい天井画を見上げたことが?

女の話をすれば君は好きなタイプを挙げる。女と寝たこともあるだろう。女の隣で目覚め、真の幸せを感じたことが?

戦争の話ならシェイクスピアを引用。”もう一度突撃を 友よ”。だが本当の戦争を?打たれた親友を抱いて息を引き取るのを見守る気持ち。

愛の話をすれば君は愛の詩を暗唱。自分をさらけ出した女を見たことは?目ですべて語っている女。君のために天から舞い降りた天使。君を地獄から救い出す。君も彼女の天使となって彼女に永遠の愛を注ぐ。どんなときも・・・癌に倒れても。2か月もの間病院で彼女の手を握り続ける。医者も面会規則のことなど口に出せない。自分への愛より強い愛で愛した誰かを失う。その悲しみと愛を君は知らない。

今の君が知性と自信を持った男か?今の君は生意気な怯えた若者。だが天才だ、それは認める。天分の深さは計り知れない。だが絵一枚で傲慢にも僕って人間を切り裂いた。

君は両親がいない。僕がこう言ったら?”君のなめた苦しみはよくわかる「オリバーツイスト」を読んだから。”どういう気がする?

僕にとってはどうでもいいことだ。君から学ぶことは何もない。本に書いてある。君自身の話なら喜んで聞こう、君って人間に興味があるから。」

 この他、妻との出会い、思い出の話も印象的。

・ボストンという狭い空間の中でほとんどの話が流れていく。

・字幕で見ていると、セリフ中に何度も何度も出てくるfuckやfuckin'という単語が訳に出ていないことが多いことがわかる。日本語が母国語のわたしは、英語が母国語の人とはだいぶ違う印象を受けているのだろう。

・最後、ウィルは自分と同じ経験をしたショーンに「it's not your fault.」という言葉を何度も言い聞かせられて心を開く。わたしは同じ経験をしたことがないからか、その言葉の重みが分からなかった。正直これで心を開くのかと拍子抜けした。そのことをわたしの友人に言ったら「冷めた目で見てるね」と言われた。