藤井聡太四段、連勝を23に伸ばす!
本日、藤井聡太四段がデビューからの連勝を23に伸ばしました。藤井四段については本ブログでも何回か取り上げています。
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いやー最近はすっかり将棋の記事ばかりになってしまっています。こんなはずでは・・・まぁしかし、これからの時代は、趣味が人生においてますます中心的なものになると言われていますし、その点将棋は(ほどほどにやれば)いい趣味ですし、いま自分が持っている趣味の一つとして大事にしていきたいなと思います。このブログでは、将棋をあまり知らない方々でもなんとなくわかるように、将棋界の話題を書いていければと思っています。上に貼った記事もそのように書いたつもりですので、よろしければご覧ください。
さて、本日藤井四段が対局したのは、上州YAMADAチャレンジ杯。これは昨年新設されたばかりの棋戦で、五段以下でプロ入り後15年以下の棋士だけが参加できます。謂わば若手の登竜門的棋戦です。持ち時間が20分、切れたら1手30秒と、とても短いのが特徴で、プロ棋戦としては珍しく1日に複数局指されます。本日藤井四段は勝ち続けると最大3局この棋戦を指す可能性がありました。
私は、今日の3連戦で連勝が止まる可能性が高いのではないかと思っていました。そう思ったのには3つの理由があります。
一つは、上にも書いた持ち時間の短さ。20分、切れたら30秒というのはプロ棋戦の中では非常に短い部類で(プロ棋戦では持ち時間3時間から6時間が多い)、持ち時間が短ければそれだけミスをする可能性が高まるからです。すなわち、持ち時間が短いほどミスは不可避になり、それが出るか否かに運の要素が入り込むと考えられるからです。もちろん相手も同じ条件なのですが、仮に藤井四段の方が強いとした場合に、運の要素が増えた方が藤井四段が負ける可能性が高まるのではと思われました。(ただ、持ち時間が少ないと番狂わせが起こる可能性が高まるとは一概には言えなず、第一人者の羽生三冠は持ち時間が短いNHK杯で4連覇を含む10度の優勝を成し遂げている。)
もう一つは、相手の戦法との相性です。公式戦では全勝の藤井四段ですが、非公式戦(将棋祭りなどでのお好み対局)ではこれまでに3敗しています。そしてそのうちの2敗の対局では相手が*振り飛車を採用していました。居飛車が主流の現代将棋において、対居飛車よりも対振り飛車に多く負けているということは、藤井四段が振り飛車に対して、指し方を確立できていない可能性が考えられます。そして、今日の3連戦で当たる可能性のあった相手は、振り飛車党の棋士が多いのでした。
*将棋の戦法は大きく分けると居飛車と振り飛車に二分される。どちらの戦法を選ぶかで戦い方は大きく異なる(将棋界では「振り飛車と居飛車は感覚が違う」などと言われる。)。現在プロ棋士では居飛車を指す棋士の方が圧倒的に多い。
最後の理由は、単純に3局も指すということです。これは体力的問題などではなく確率的問題で、仮に1局の対局に80%の確率で勝つとしても、3連勝できる確率は51.2%です。体力的には、*奨励会ではもっと長い持ち時間で1日3局指していたので、特に心配していませんでした。
*奨励会とは日本将棋連盟のプロ棋士養成機関である。三段まで上がり、さらに所定の成績を収めると、四段に昇段( = プロ入り)をする。(Wikipediaより抜粋)。奨励会では級位者は持ち時間60分切れたら一手60秒で1日3局、有段者は持ち時間90分切れたら一手60秒で1日2局指す。
以上のように、短い持ち時間と振り飛車党の相手、この条件で藤井四段が3連勝できるかは、けっこう怪しいと思っていました。連勝を伸ばすうえで、今日は一つの山場だと思っていました。
ふたを開けてみると、見事に3連勝。杞憂でした。
ただ、中にはかなり危ない将棋もありました。これに関しては(気が向いたら)別記事で書きたいと思います。
これで藤井四段は連勝を23に伸ばしました。これは歴代単独3位の長さ。史上最強の棋士羽生善治三冠の記録、22連勝も抜きました。上には24連勝の丸山九段と、28連勝の神谷七段しかいません。アンビリーバボー!!!
藤井四段の次の対局は今月10日㈯に行われる叡王戦予選。この対局も持ち時間が1時間切れたら1手60秒と短く、1日に2局行われます。つまり藤井四段はそこで一気に25連勝まで伸ばす可能性があります。そうすれば歴代単独2位。いやぁすごい。ちなみにこの対局は当日ニコニコ動画の将棋公式チャンネルで生中継される予定です。必見です。