登山あれこれ②

 前回の妙高山登山の反省から『クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 』を読んでいる。とても面白い。姉崎氏の経験から述べられているクマの習性やクマと出会ったときの対策は非常に参考になる。さらに猟のために北海道の雪山に何日間も籠って生き抜くための技術と知恵も惜しみなく語られている。それらは、現代の進歩した装備を用いた登山者向けの情報からは決して得られない、貴重で真に有用なものだと思う。そういう意味で本書は山に関わる人のバイブルと言えるだろう。そして私はなにより、姉崎氏の山と自然そして人間に対する謙虚で誠実な態度に感銘を受けた。

 

 

 前回の妙高山登山はタイオガブーツのデビュー登山だった。山行は厳しいものであったが、靴自体はとても履き心地が良かった。危険個所で滑らなかったのはタイオガのグリップがしっかり利いたおかげでもあるだろう。また、いままで使っていたトレッキングシューズでは、よく下山中に爪先が痛くなったのだが、タイオガブーツではそのようなことがなかった。いい買い物をしたと思う。大切に使っていきたい。

 

 

 登山スタイル見直しの一環で、当分の間、登山に関わる様々な行動でこれまでと違って無理をしない方針に転換することにした。

 たとえば、これまでの山行では、体力の90%ほどを使うことを想定したような登山計画を立てていた。しかしそれだけ体力的に余裕のない計画は、想定外のことが起こった時に対処できなくなり危険であると実感した。想定以上に疲れて冷静な判断ができなくなったり、時間が押したときにペースを上げる余裕がなかったり、遭難したときに生き延びる体力が無くなったりする。また下山時にへとへとになって膝を痛め、登山後数日の行動が制限される。今後は、体力の60%ほどを使うことを想定して登山計画を立てて、余裕のある山行をする。そしてトレーニングを積み、余裕のある山行の選択肢を広げていきたい。

 そのトレーニングに関しても見直す。これまでは割とがむしゃらにランニングなどをしていたが、その結果膝を痛めたり、大腿筋膜張筋と思われる筋肉を(軽く)損傷してしまったり。こうした無理が重なり、登山で痛める→過度のトレーニングで痛み悪化or長期化→登山・トレーニングの延期、という本末転倒の結果になりがちだった。もっと考えてやらな意味あらへん。

 そもそも登山で特に必要な筋肉は持久力を発揮する赤筋であって、強いパワーを発揮する白筋ではない。赤筋を鍛えるには30~60%くらいの力で20~50回ほど繰り返せる筋トレをすればよい。この筋トレは必ずしもキツくはないが、そもそも筋トレはキツくないと効果がないものというものではない。赤筋を鍛えるには比較的楽にできる動作をくり返すのが有効である。これには筋トレ中に怪我をする可能性が低いというメリットもある。

 ランニングでは最近はLSD(Long Slow Distance)をしている。これはゆっくり笑って話せるくらいのペースで長時間長距離走るというもので、持久力・酸素摂取量向上などの効果がある。これもキツくはないが、効果が実証されたトレーニングである。私は最初にLSDをしたときはゆっくりのペースがじれったくて、ついついオーバーペースになりがちだったが(登山でもじれったくてつい飛ばしてしまう)、慣れてくるとペースを守って走るのが本格的なマラソンをしているみたいで楽しくなるし、長距離を走るから達成感もある。また、膝痛や大腿筋膜張筋痛を抱えている私にとっては、脚への負担が少ないのも大きなメリットである。

  このように効果的なトレーニングをして、しなやかに動ける身体を作りたい。そして上にも書いた、怪我による登山・トレーニングの延期→体力低下→無理して怪我・・・という悪い流れを断ち切りたい。

 

 

 さて、次に予定している山行が近づいてきた。楽しんでいきましょいっ